食物繊維とは、炭水化物に含まれる栄養素の一つです。
人間では消化されないため、エネルギーにならず、以前は「食べ物のカス」として不要なものだと
考えられていました。
しかし近年では、腸内細菌の働きにより発酵分解され、一部がエネルギーとして使われていることが分かってきました。
さらに腸内環境を整えて便通を良くしたり、血糖値の急激な上昇を抑えたりする効果がわかり、生活習慣病の予防などの観点から、大変注目されるようになりました。
上述しましたように、食物繊維が健康維持のために重要な栄養素であると考えられるようになったため、食事から摂る食物繊維の目標量が定められるようになりました。
以下は厚生労働省の策定した「食事摂取基準2015」から食物繊維の部分を抜粋した表です。
数字の単位はグラム(g)です。
1日に食事から摂るとよい数値です。
性別 | 男性 | 女性 |
年齢 | 目標量 | 目標量 |
0~5(月) | ー | ー |
6~10(月) | ー | ー |
1~2(歳) | ー | ー |
3~5(歳) | ー | ー |
6~7(歳) | 11以上 | 10以上 |
8~9(歳) | 12以上 | 12以上 |
10~11(歳) | 13以上 | 13以上 |
12~14(歳) | 17以上 | 16以上 |
15~17(歳) | 19以上 | 17以上 |
18~29(歳) | 20以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 20以上 | 18以上 |
50~69(歳) | 20以上 | 18以上 |
70以上(歳) | 19以上 | 17以上 |
食物繊維は、大きく分けると
水に溶けやすい水溶性の食物繊維
水に溶けにくい不溶性の食物繊維
に分類することが出来ます。
■水分を保持し粘りけがあるので、便の量を増やしたり、柔らかくする
■糖の吸収をおだやかにして、急な血糖値の上昇を抑え、糖尿病を予防する
■コレステロールの吸収を抑えて、脂質異常症を予防する
■高血圧の方には、血圧を下げる効果が期待できる
■水分を吸収し、腸の蠕動運動を促進して便秘を改善する
■発がん性物質や有害物質の排泄を促し、特に大腸がんを予防する
■よく噛むことにより、食べ過ぎを防ぎ、食事の満足感をアップする
■またよく噛むことで、顎関節を強くし、唾液の分泌促進により、虫歯予防にもなる
コンドロイチン
ペクチン(水溶性のもの)
アルギン酸
フコイダン
グルコマンナン など
セルロース
ヘミセルロース
ペクチン(不溶性のもの)
グルカン
リグニン
キチン・キトサン
一般的には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合を
不溶性2:水溶性1
にするのが理想的な摂り方といわれています。
ただし便秘の解消を目的としている方は、以下のことにも注意してみてください。
水をたくさん吸収しやすい不溶性食物繊維を多めに摂ると、便の量が増えて
腸を刺激しやすくなります。
これによって、腸の蠕動運動が増えるために排便しやすくなるという理屈ですね。
ですから、腸があまり動かない方や、便の回数が少ない方、高齢者の方は
少し不溶性を多めにとると良いでしょう。
逆にお腹はゴロゴロいっているのに、便がなかなか出ない方や、固くてコロコロした便が出たり、便秘と下痢を交互に繰り返すような方は、水溶性を多めにとると良いでしょう。
水溶性食物繊維が便を柔らかくしてくれます。
それぞれの食物繊維を含む代表的な食べ物を、以下にご紹介しておきます。
ご飯などの穀物(なるべく精白されていないもの:写真は五穀米)
炭水化物(糖質)は、通常の食生活であればエネルギー源として最も多くを
占める栄養素です。
ただし、飽食といわれる現代の日本では、炭水化物の摂りすぎによる肥満や
生活習慣病が問題視されています。
適切な1日の摂取基準と、炭水化物を効率よくエネルギーに出来る栄養素を
組み合わせて、上手に炭水化物を摂りましょう。
厚生労働省の報告「食事摂取基準2015」では、炭水化物の1日の摂取基準
を以下のように推奨しています。
年齢・性別に関わらず、1日の摂取エネルギーのうち、炭水化物の割合が
50%~65%(中央値57.5%)
となるように摂取するのが望ましい。
また、この数値には
アルコールを含む
と注釈がつけられています。
1日の摂取エネルギー(カロリー)の目安は、以下のページに年齢・性別ごとの
必要量を一覧表にしてありますので参考にしてください。
例を挙げて、計算してみましょう。
例)女性、30~49歳、活動レベル普通の人の場合
1日に必要なカロリーは、表を見ると2,000kcalです。
炭水化物の摂取割合の推奨値は50~65%ですから
1,000kcal~1,300kcal
を炭水化物・糖質・アルコールで摂取してよいということになります。
ご自分の年齢・性別・活動レベルで計算してみてください。
ご自分の炭水化物の摂取推奨量を知ることで、摂りすぎによる肥満や
炭水化物を過剰に省いた無理なダイエットを防ぐことにつながります。
私たち人間の身体では、炭水化物を効率よくエネルギーに変えるのに
必要な栄養素があります。
それが、ビタミンB群、特にビタミンB1です。
ビタミンB1を多く含む食材は、以下の通りです。
などに特に多く含まれています。
また、実はお米にも、もともとビタミンB1が多く含まれています。
しかし、ビタミンB1が多いのは、胚芽や外皮の部分なので、精米技術
の進んだ近代以降、お米からは摂取しづらくなってしまいました。
ですから、お米から効率的にビタミンB1を摂るためには
■玄米を混ぜた玄米ご飯にする。
■胚芽精米されたお米を使う。
といったことが必要になってきます。
これは、小麦にも同じことが言えます。
全粒粉には多く含まれ、白く製粉された小麦粉には少ないのです。
炭水化物を上手にエネルギーに変えられるように、ビタミンB1を多く含む
おかずにするなどちょっとした工夫をしてみましょう。
糖質は、炭素と酸素と水素によって構成されています。
そのため、炭水化物とも呼ばれます。
主に主食とされる、ご飯などの穀物・パン・麺類・イモ類などに多く含まれています。
1日に必要なエネルギー量の50~70%程度をこの糖質・炭水化物で
摂ると良いとされています。
大きく分けると以下の3つに分類されています。
糖質(炭水化物)の中で、これ以上分解されることのない最も小さい単位です。
水に溶ける性質があり、甘みがあります。
主なものは以下の3種類です。
人間にとって、もっとも重要なエネルギー源です。
お米などの穀類、果物、根野菜などに多く含まれています。
消化吸収がされやすく、単糖類の中でも最も甘さを感じられます。
名前の通り、果物に多く含まれています。
乳製品などに多く含まれています。
単糖類が2つくっついた形でできています。
こちらも水に溶ける性質で、甘みがあります。
ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)がくっついています。
砂糖の主な成分がこれです。
ブドウ糖とガラクトースがくっついて出来ています。
その名の通り、乳製品に多く含まれています。
ブドウ糖が2つくっついて出来ています。
水あめの主成分がこれです。
※二糖類は少糖類に含んで分類することもあり、基準がやや曖昧です。
少糖類はオリゴ糖とも言われ、多糖類ほど分子が大きくありません。
※オリゴ糖の中には、消化吸収されづらいものがあり、腸で善玉菌の餌になることから
「腸内環境を整える」として健康食品に含まれていたりするものもあります。
単糖類が数千個~数百万個くっついて出来ています。
消化されやすいものと消化されにくいものがあります。
また、甘みは基本的になく、水には溶けにくい性質があります。
穀物や芋・豆類に多く含まれています。
消化されやすい多糖類です。
動物の肝臓や筋肉に多く含まれています。
消化されやすい多糖類です。
消化されにくい多糖類の代表的なもので、食物繊維の1種です。
人間はこれを消化して、エネルギー源とすることはできません。
しかし、腸を整える作用や発がん物質をくっつけて排出する働きがあり、重要です。
単糖類に含まれるもので、自然界にはごくわずかしかない糖類です。
現在約50種類が確認されています。
有名なところでは、ガムに含まれるキシリトールがあります。
キシリトールは虫歯になりにくく、逆に虫歯の予防にもなることは皆さんご存知かもしれません。
それ以外にも、日本で使われている希少糖には
エリスリトールやD-プシコース・D-アロースなどがあり、以前は作ることが難しかったのですが
近年研究が進み、食品に使われるようになってきています。
希少糖は虫歯になりにくく、カロリーが少ないなどの特徴があり甘味料や
食品添加物として注目されています。
糖質・炭水化物は、私たちの身体のエネルギー源として重要です。
グルコース(ブドウ糖)は血液中に最も多く含まれています。
この血液中のグルコース(ブドウ糖)のことを血糖といいます。
よく血糖値と言われますが、このことです。
血糖は必要に応じて細胞の中に取り込まれてエネルギーとして消費されます。
特に脳にとってはグルコースは最も大事な栄養源で、身体が飢餓状態にならない
限りは脳にとっては唯一のエネルギー源です。
また、三大栄養素の他の2つ、脂質・たんぱく質よりも素早くエネルギーに
できるという特徴があります。
短い時間の激しい運動には、糖質・炭水化物がエネルギーとして使われ
長時間のゆったりとした運動には、脂質やたんぱく質が使われやすいです。
消化吸収されたグルコースのうち、すぐに使わない分は体内に貯蔵されます。
まずはグリコーゲンとして蓄えられます。
グリコーゲンは主に、肝臓と筋肉に蓄えられます。
肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、血糖値が下がると分解されて血液中に
グルコースとして再び放出されます。
筋肉に蓄えられたグリコーゲンは、筋肉を収縮させるときのエネルギー源
として使われます。
それでも過剰なグルコース(ブドウ糖)は中性脂肪として蓄えられます。
血糖として血液中に存在するものと、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられている
分は実はそんなに多くありません。
余った糖質のほとんどは中性脂肪として蓄えられています。
そのため、過剰に糖質・炭水化物を摂ると、肥満になってしまうのです。
グルコースをエネルギーに変換する過程でできる物質を材料として
アミノ酸が合成されます。
また、上記の過程でできるアセチルCoAという物質を材料として
脂肪酸が合成されます。
糖質や炭水化物は身体にとって、とても重要なエネルギー源です。
そのため、不足するとさまざまな障害を引き起こします。
まずは、疲れやすくなり、集中力が低下しやすくなります。
糖質・炭水化物が不足すると、身体はエネルギーを得ようとして
たんぱく質を分解してグルコース(ブドウ糖)を作ろうとします。
結果として、筋肉量が低下したり病気に対する抵抗力が落ちて
しまったりします。
また、脳は基本的にブドウ糖をエネルギー源としています。
そのため、あまり血糖値が低下すると意識障害を引き起こす場合があります。
無理なダイエットなどによる、過剰な糖質・炭水化物の摂取制限は危険です。
毎日の食事で適切な量を摂ることを心がけましょう。
糖質や炭水化物は、摂りすぎるとすぐに中性脂肪として身体に
蓄えられてしまいます。
結果として、肥満やメタボリックシンドロームの原因になってしまいます。
また、脂肪肝や糖尿病などの生活習慣病の引き金ともなりえます。
主食に多く含まれるため、ついつい食べ過ぎてしまいやすいのが炭水化物です。
主菜・副菜と組み合わせて、バランスの良い食生活を目指したいものです。
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