脂質は水に溶けない物質です。そのため体内に貯蔵しやすく
身体のエネルギー源として非常に重要で3大栄養素の1つです。
非常にたくさんの種類があって、よく聞く「脂肪酸」は脂質を構成する成分で
「コレステロール」は脂質の種類の1つです。
人間の体内では脂質のほとんどは「中性脂肪」として存在します。
1日に必要なエネルギーのうち、20~25%を脂質で摂取すると良いとされています。
主要な身体のエネルギー源となる栄養素は、炭水化物と脂質です。
炭水化物が1gあたり、4kcalのエネルギーとなるのに対して
脂質は1gあたり、9kcalの大きなエネルギーとなります。
また、水に溶けない性質から体内に貯蔵しておくエネルギーとして重要です。
万が一飢餓状態になると、分解されてエネルギー源となります。
貯蔵されている脂質は、「中性脂肪」として蓄えられています。
脂肪組織には保温性やクッション性があり、身体の熱が放散するのを防いだり
内臓を保護する働きがあります。
ビタミン類の中には水には溶けず、脂に溶ける性質をもつものがあります。
ビタミンA・D・E・Kがそれです。
これら脂溶性ビタミンは、脂質がないと上手く身体に吸収できません。
これは脂質の中でも、特に「コレステロール」の働きです。
コレステロールは細胞膜に強度を与えるうえで必要となります。
また、消化を助ける胆汁酸の原料となったり、身体の各種機能を調節する
ホルモンの前駆物質となります。
植物油:オリーブ油、ごま油、サラダ油
油脂製品:マヨネーズ、マーガリン、バター
豆類、ナッツ:くるみ、マカダミアナッツ
お肉:脂身の多い牛肉や豚肉など
お魚:脂ののった青魚、トロの部分など
現代の日本では、食事の西洋化などもあって、脂質を摂りすぎてしまう
傾向にあります。
摂りすぎた脂質は、中性脂肪として身体に過剰に蓄えられるため
肥満につながります。
また、血液に含まれる脂質のバランスが崩れるため、さまざまな
生活習慣病の引き金となってしまいます。
脂質の摂りすぎによって、以下の病気のリスクが高まります。
糖尿病、動脈硬化などの血管疾患、脂質異常症(高脂血症)
近年では、ダイエット意識の高まりによって、食事から脂質を極端に
減らしてしまうこともあります。
結果として過度のエネルギー不足に陥ったり、痩せすぎてしまうことにより
免疫力までも低下してしまうことになります。
また、前述した脂溶性ビタミンの吸収がしにくくなってしまうので
これら脂溶性ビタミンの欠乏症になる場合もあります。
細胞膜の強度も弱くなるので、皮膚が荒れたり皮膚炎を起こすこともありますし
血管がもろくなって、脳出血などの脳血管疾患につながることもあります。
脂肪酸は、脂質を構成する物質の1つです。
たくさんの種類があって、細かく分類されています。
エネルギーとして使われるのはもちろんですが、身体にとっていろいろな
働きがあるため、重要です。
大きく分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
お肉や乳製品の脂肪に多く含まれています。
エネルギー源として特に重要で、中性脂肪やコレステロールの原料です。
ただし、たくさん摂りすぎると脂質異常症となり、血液中の脂質のバランスを
崩してしまうことがあります。
炭素の結合の仕方によって、一価と多価の不飽和脂肪酸に分けられ
さらに多価不飽和脂肪酸は、n-3系統とn-6系統に分類されます。
エネルギーとしても使われますが、身体の健康を維持するうえで
いろいろな働きがあります。
特に血液中の脂質のバランスを整える働きが注目されています。
脂肪酸の中には、人間の身体の中で作ることのできないものがあり、
食事から必ず摂る必要があるので、特に必須脂肪酸と呼ばれます。
α-リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸がそれです。
足りなくなると、成長障害や皮膚炎を起こすことがあります。
コレステロールは脂質の種類の1つです。
悪玉、善玉などと呼ばれることもあり、あまりいいイメージはないかもしれません。
しかし、コレステロールには大事な役割があって、
・細胞膜に強度を付ける
・消化を助ける胆汁酸の材料となる
・身体を調節するステロイドホルモンの材料となる
・ビタミンDの前物質になる
など身体にとっては欠かせません。
コレステロールは比重によって、低比重リポタンパク(いわゆるLDLコレステロール)と
高比重リポタンパク(いわゆるHDLコレステロール)に分けられます。
健康診断などで血液検査を受けると、結果表が送られてきますね。
その中に、たいていこの2つの結果も掲載されています。
LDLは、細胞にコレステロールを運ぶため、過剰になると特に血管壁を硬くすることから
動脈硬化の原因となるとされ、悪玉コレステロールと呼ばれています。
逆にHDLは細胞からコレステロールを回収するため、善玉コレステロールと呼ばれています。
このコレステロール値は、従来の基準ですと
総コレステロール値 140~199
LDLコレステロール値 60~119 (男女共通)
とされていましたが、2014年4月に新基準値が発表されました。
以下が新基準値です。
総コレステロール 151~254
LDLコレステロール 72~178
総コレステロール 145~238(30~44歳)
163~273(45~64歳)
175~280(65~80歳)
LDLコレステロール 61~152(30~44歳)
73~183(45~64歳)
84~190(65~80歳)
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